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大阪高等裁判所 昭和25年(う)258号 判決

被告人

團藤龍之助

外一名

主文

本件控訴を棄却する。

理由

被告人両名の弁護人谷口義弘の控訴趣意第一点について。

遣失物橫領罪は占有者の認識なくしてその占有を離れた物を不法領得の意思をもつて自己の占有に移すことを言うのであつて他人の占有に属する物をその意に反して奪取すれば窃盜罪を構成すること勿論である。そして原判決挙示の証拠を綜合すると李在光は鉄道線路の傍において同人の兄李在玉が進行中の列車内から買出して来たドンゴロス入白米約二斗を投げ出すのを待ち受けてこれを受取つたが偶々巡査の制服をつけた被告人等の姿を見るや食糧の不法輸送の廉で取調べられるのを恐れ一時右の米を判示番小屋の前に置き去り附近に隠れてこれを監視していたところ被告人等においてその事情を察知しながらこれを奪取した事実が認められる従つて被告人等が右の米を自己の占有に移した際その米は右李在光の占有に属していてこれを離れていたものと言うことができないから原審が本件の事実を窃盜罪に問擬したのは洵に相当であつて記録を仔細に調査しても原審の事実認定に誤のあることを信ずるに足りる資料はこれを発見せず論旨は理由がない。

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